映画シン・ウルトラマンに登場するのが禍威獣(カイジュウ)です。
今までのウルトラマンシリーズに出てくる敵といえば、怪獣でしたよね。
シンウルトラマンの中では、禍威獣は日本だけに現れる脅威として描かれています。
・シン・ウルトラマンに出てくる「怪獣」が「禍威獣」と呼ばれる理由
・禍威獣は日本だけになぜ現れるのか?
ヒントとなるのは、【日本語話者だけが解読できるメッセージ】。
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禍威獣の意味とは?禍威獣の読み方はカイジュウ
禍威獣とは、シン・ウルトラマンに出てくる敵でいわゆる怪獣を意味します。「禍威獣」の読み方は、カイジュウです。
公式HPによると、「禍威獣」とは次のように説明されています。
※禍威獣=次々と発生する巨大不明生物の政府公募による総称
つまり、巨大不明生物の総称が「禍威獣」ということです。
禍威獣は、従来の「怪獣」と非常に近い意味として使われているようですね。
禍特対とは?正式名称は禍威獣特設対策室専従班
また、禍特対とは「禍威獣」に対抗するための組織のこと。禍特対の読み方はカトクタイです。
禍特対の正式名称は、禍威獣特設対策室専従班です。
このやたら長い名前に見覚えがある方もいるのではないでしょうか。
『シン・ウルトラマン』の監督は樋口真嗣、企画・脚本は庵野秀明が務めますが、この2人は2016年公開の『シン・ゴジラ』を手がけたコンビでもあります。『シン・ゴジラ』では、ゴジラが「巨大不明生物」とされ、対策チームが発足しました。
- 『シン・ゴジラ』 ⇒「巨大不明生物特設災害対策本部」、略して「巨災対」
- 『シン・ウルトラマン』⇒「禍威獣特設対策室専従班」、略して「禍特対」
『シン・ゴジラ』と『シン・ウルトラマン』の名前を比較してみると、非常に近いものがありますね!
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シン・ウルトラマンで怪獣が禍威獣と呼ばれる3つの理由を考察
今までのウルトラマンシリーズに出てくる敵といえば、「怪獣」でしたよね。
どちらも同じカイジュウという読み方をする「怪獣」と「禍威獣」。
それでは「怪獣」と「禍威獣」の違いは何なのでしょうか?
「シン・ウルトラマン」で怪獣が禍威獣と呼ばれる理由について考察してみます。
1)シンウルトラマンとウルトラマンの違いを打ち出したかったから
まず、「怪獣」の意味は、未知の生物、怪物の総称です。
そして、「禍威獣」の意味もまた『次々と発生する巨大不明生物の政府公募による総称』なため、「怪獣」と非常に近い意味を表します。
ただし、「禍威獣」という言葉は過去のウルトラマンシリーズでは使われていません。「禍威獣」は、2022年上映の映画『シン・ウルトラマン』で初めて出てきた新しい呼び名です。
「怪獣」と「禍威獣」の使い分けは、シンウルトラマンとウルトラマンの違いを打ち出して過去の作品と一線を画す意味があるのではないかと推測することができます!
シンウルトラマン主題歌のM八七も、タイトルにこだわった経緯が明かされていましたね。
2)カイジュウの脅威をより強調したかったから
「怪獣」と「禍威獣」はそれぞれカイジュウと読むため、言葉で聞く分には違いがありません。
しかし、漢字表記で意味をみてとると、「怪獣」と「禍威獣」の違いは一目瞭然です。
「怪獣」が「正体不明で怪しい獣」なら、「禍威獣」は「禍の脅威をもたらす獣」となります。
「禍」という言葉は、「コロナ禍」として使われるなど甚大な影響を与える物事に用いられます。(実際に「シン・ウルトラマン」もコロナの影響で公開時期が発表が1年延期になるということもありました。)
「禍威獣」の方がより強く悲惨な被害をもたらしそうな名称ですね。
あえて「怪獣」ではなく「禍威獣」という言葉を使うことで、カイジュウの脅威をより強調する意図があると考られるのではないでしょうか。
3)シンウルトラマンの「シンの意味」を表したかったから
シンウルトラマンの「シンの意味」は、次の3つの意味があるのではないかとも言われています。
- 「新」
- 「真」
- 「神」
「シン・ウルトラマン」で新たに「禍威獣」という言葉が使われるようになった背景には、「シンの意味」が関係しているのではないでしょうか。
『シン・ウルトラマン』は、1966年に放送された初代『ウルトラマン』を現代に置き換えたリブート映画です。
かつてのウルトラマンを踏襲しつつ、新しい現代のウルトラマンとして怪獣の呼称に新要素を入れたと考えられます。
怪獣は漢字の意味を分解すると、怪しい獣で正体不明の生物になります。
しかし、実際のところ、怪獣は正体不明どころですむ相手ではありません。
カイジュウの真の姿とは、大きな脅威や禍をもたらす存在です。
そこで、カイジュウの本質を表す「禍威獣」という言葉を使うことにしたのではないでしょうか。
「神」の姿のウルトラマン作品として、カイジュウを世の中に禍をもたらす「禍威獣」として表したかった
初代ウルトラマンのデザイナーである成田亨さんによると、ウルトラマンは「神に近い存在」をイメージして作ったというエピソードがあります。
実際に、ウルトラマンの表情は仏様のアルカイック・スマイルをモデルにしているそうです。
シン・ウルトラマンの企画・脚本の庵野秀明さんは、成田亨さんをとても尊敬しながら制作にあたっていたとのこと。
苦しいときに助けに来てくれる「神」の姿のウルトラマンとの対比として、カイジュウを世の中に禍をもたらす「禍威獣」として表したかったのではと考えることができます。
ここまでシン・ウルトラマンで怪獣が禍威獣と呼ばれる3つの理由について考察しました。
今までとは異なる名称「禍威獣」という言葉を使う背景には、
1)シンウルトラマンとウルトラマンの違いを打ち出すため
2)カイジュウの脅威をより強調するため
3)シンウルトラマンの「シンの意味」を強調するため の3つの理由が考察できます。
禍威獣は日本だけになぜ現れるのか?
禍威獣は日本だけになぜ現れるのか?を考えるときにヒントとなるのが、日本が持つ歴史的・地位的な特殊性です。
日本は災害大国として知られています。日本は台風に地震、噴火に津波など自然災害に襲われやすい国です。
特に地震の多さは突出しています。日本の国土面積は全世界の1%以下なのに、世界の地震の約20%は日本で発生しています。
これは単純計算で20倍以上も地震の被害に起きやすいということ!
一方で、日本には美しい四季があり、豊かな国土に恵まれている国でもあります。
他国では自然災害のあとに復興が進まず、街や地域が捨てられてしまうというケースも少なくありません。
しかし、日本は何度も自然の脅威に脅かされながらも、必ず復興に向けて国民同士が結びつくという強さがあります。
【調査報告:#禍威獣 (カイジュウ)】
次々と日本に発生する
”巨大不明生物”の総称。
政府の公募により”禍威獣”と呼称される。#シンウルトラマン #5月13日公開 pic.twitter.com/6z2vlHBWiO— 映画『シン・ウルトラマン』公式アカウント (@shin_ultraman) April 16, 2022
話を禍威獣に戻します。
禍威獣の脅威は、甚大で圧倒的です。
前触れ無く突然やってくる災厄という点においては、禍威獣は一種の天災とも言えるでしょう。
禍威獣は、日本の災害のメタファーとなっているのではないでしょうか。
そう考えると、シンウルトラマンは禍威獣からの禍いを乗り越える日本の姿を描いている、ととらえることもできるでしょう。
なぜ禍威獣が日本だけになぜ現れるのかという理由は、禍威獣が日本に多く発生する災害の一部として描かれているからと考えられるのではないでしょうか。
まとめ|日本語話者だけが解読できるメッセージが数多く隠されている
「禍威獣」とは、2022年上映の映画『シン・ウルトラマン』で初めて出てきた新しいの呼び名です。
今までのウルトラマンシリーズに出てくる敵といえば、「怪獣」でした。
「怪獣」と「禍威獣」の読み方は全く同じ「カイジュウ」で、言葉の持つ意味合いもほぼ同じです。
しかし、「怪獣」と「禍威獣」という異なる言葉をあえて使っている背景には必ず理由があるはずです。
この記事では、【シンウルトラマンで怪獣が禍威獣な3つの理由】と【禍威獣は日本だけになぜ現れるのか?】を考察してみました。
1)「怪獣」と「禍威獣」の違いで作品の切り替わりを表したかったから
2) カイジュウの脅威をより強調したかったから
3)『シン・ウルトラマン』の「シンの意味」を表したかったから
・日本は世界随一の災害大国
・禍威獣は日本の災害のメタファー
・シンウルトラマンは禍威獣からの禍いを乗り越える日本の姿を描いている
・禍威獣は特殊な災害として描かれているため、日本だけに現れる
管理人の結論としては、シンウルトラマンには日本語話者だけが解読できるメッセージがふんだんに含まれているということ。
同じ脅威を表す漢字の言葉であっても、怪獣と禍威獣とでは意味合いが変わってきます。
シン・ウルトラマンのシンもあえて片仮名で書かれることで、言葉の読み取り方に意味を持たせることができます。
これらの細かな違いを他の言語に訳すのはなかなか難しいでしょう。
シンウルトラマンは、日本で生まれ育ち日本語を話す私たちだけが深読みと解読をすることのできる作品ということができるのかもしれません。
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シンウルトラマンの主題歌 M八七についての考察についてはこちらの記事で解説しています。
あわせて読んでみてくださいね!
M八七は、歌手の米津玄師さんがシンウルトラマンの映画用に書き下ろした新曲です。『M八七』は漢字でどこか意味深な雰囲気のあるタイトルですよね。実はこのM八七というタイトルには、シンウルトラマンならではの仕掛けがあるのです。[…]